ゲームの考察

スーパーマリオの1-1がゲームデザインとして完成されているというのは結構有名な話です。ネット上にはいたるところにゲームデザインの素晴らしさを説明するサイトがありますが、私なりにもプレイして考えてみました。

スーパーマリオブラザーズ 1-1考察

誰もが知っているアクションゲーム、スーパーマリオ。 そのゲームの原点といえる、ファミコン版スーパーマリオブラザーズ。 その頃は横スクロールするアクションゲームなんて誰もやったことがありませんでした。 なので、誰でもゲームの操作を覚えて楽しんでもらえるように最初のコースである1-1は非常に親切に作られています。

ステージ序盤

スタート直後
敵も障害物も一切ありません。
マリオは左端にいます。

右側が開けているため、右に進もうと思うでしょう。
右に進むと画面がスクロールします。

このゲーム開始直後に敵がいない、プレイヤーが操作するまで敵が出てこない状況はとても重要だと思います。
それまでTVゲームすらやったことがなくコントローラを持ったことがない人がプレイすることを考えると自分のタイミングで進むことができるのはとても親切な設計だと思います。
シューティングの場合は勝手に敵が出てきてプレイヤーが操作する前にやられる場合がありますので

最初のブロック
スタート地点から少し進むとブロックが現れます。
ピカピカ点滅するブロックで目立つため、初めてのプレイヤーは興味を惹かれるでしょう。
この時点ではまだ、敵は現れません。

プレイヤーは敵よりも最初にピカピカ光る「?」ブロックを見ることになります。

最初の敵
ピカピカ光るブロックが気になるので近づこうとすると最初の敵(クリボー)が現れます。
パワーアップしていないマリオは一度敵にあたってしまうとミスになるため、ここではジャンプをしないと突破することはできません。 敵は一定の速さで前に進んでくるので、その場でジャンプするだけ倒すことができます。
ここでプレイヤーはジャンプの操作と上から敵を踏めば倒せるということを知ります。

もし、ここでクリボーにやられても、ピカピカ光る「?」ブロックが目につきます
気になります。
また、プレイしたくなります。

ブロックたくさん何が入っているかな?
最初の敵を突破すると「?」ブロックがたくさんあるところにきます。
ここでは敵が登場しないため、安全に下からブロックを叩いて試すことができます。
プレイヤーは一番最初に左側の「?」ブロックを叩くでしょう。そこでコインが取れます。 次に他の「?」ブロックを叩くでしょう。
キノコが入っているブロックはレンガのブロックに挟まれているので、「?」を叩こうとしてレンガを叩くこともあるでしょう。
いずれにせよそのうち、キノコが入っている「?」ブロックを叩くことになります。

この部分で下からブロックを叩くと何かが出るということを知ります。
なんだかんだで全ての種類のブロックを一度叩くということなると思われます。


キノコが向かってくる?
マリオといえばキノコでパワーアップ。
なので積極的にキノコを取りに行くでしょう。
ですが、マリオを知らない人にとってはキノコが敵か味方かはわかりません。
なので、マリオを知らない人でもキノコを取れるような工夫がされています。
この部分は作者である任天堂の宮本茂氏が自ら語っている部分でもあります。
キノコをは前に進みます。そのままではマリオから遠ざかってしまうので土管にぶつかってマリオに向かってきます。
キノコが敵か味方かわからないプレイヤーはジャンプしてキノコを避けようとしますが、天井にぶつかって仕方なくキノコにぶつかってしまします。
結果キノコを取ることになるのです。

キノコをとったらマリオが大きくなります。何があるか次のブロックを叩くとブロックが壊れます。
ここで、大きなマリオはブロックを壊せるということを知るのです。

アイテムをとったらどんな効果か気になります。
すぐに効果を試せるという環境はとても重要です。


ジャンプして土管に乗ろう

今までもジャンプはしていたけど、それは突っ立った状態でのジャンプ。
土管に乗るには前に進みながらジャンプしないといけません。
ここでは敵も出てきませんので安全に練習ができます。
また、乗り越える土管はだんだん高くなっていきます。
こうして少しづつ高い壁を乗り越えていくことで上達していくのが実感できるでしょう。

下には敵、どうするか?

土管と土管の間に敵がいます。
ここで土管の上をジャンプで渡っていくか、下に降りて敵をやっつけて進むか?
Bダッシュとジャンプを使えば土管の上を渡っていくことができます。
Bダッシュをしなくても下に降りて敵を倒せば進むことができます。

この頃のアクションゲームは今とは違ってセーブはありません。
ゲームオーバーになったら、また最初からなのです。
その場合、チュートリアルのような簡単なことをやるのは飽きます。やりたくないでしょう。
「おら、つえーやつと、ててけぇてぇ」ってなるわけです。

なので、ゲームに慣れた人でも楽しめるように、Bダッシュとジャンプを駆使すれば下に落ちずに素早く華麗に突破できるようになっているのです。


最初の穴
ここでようやく最初の穴が登場します。
今までジャンプをして敵を倒して、土管を乗り越えてきたプレイヤーなら問題なく突破できるでしょう。
また、ここでは敵が登場しないため、プレイヤーは自分のタイミングでジャンプをすることができます。
今までは練習、ここからが本番?!

さっきより大きな穴でも上からも行けるぞ
さっきの穴に続けて2目の穴、しかもさっきよりも大きい。
リスクをかけて穴を助走ジャンプで超えるか?上から安全に突破するか?

マリオは助走すると遠くにジャンプできます、Bボタンでダッシュするともっと遠くにジャンプできます。
最高速状態だとスンゴイ跳躍力を見せてくれます。
なので、本来それほど難しいポイントではないんですが、このようにプレイヤーに選択肢を作ることで2回目プレイ時に別の選択を取るなどの楽しさにつながります。

※ マリオは助走なしで足場4つ分程度のジャンプができます。足場3つ分なので誰でも突破できるようになっているのです。

キノコが出てきた。でも取れなかった。
ここまでダメージを受けてなければこのブロックからフラワーが出てきてファイヤーマリオになれます。フラワーは動かないので取るのは簡単です。
この先は敵もたくさん出てくるのでファイヤーマリオの効果を存分に試すこともできます。

チビ状態で来た場合、キノコが出てきて、キノコは右に進みます。
キノコが出てくることを知らないと、キノコが穴に落ちてしまいます。
いや、キノコを見てから歩けばとれます。
キノコはブロックからゆっくりと現れ完全に姿を見せてから右に進むため、ちゃんと判断できれば初プレイでもBダッシュしなくても取れるようになっているのです。
大抵のプレイヤーはキノコと一緒に落ちて悔しい思いをするでしょう。

ステージ中盤

中間ポイントはチビマリオから
キノコを取ろうとして落ちた人、その先でやられた人。中間ポイントはココになります。
ここから再スタートできます。
このちょっと前にキノコがあるのに…
しかもこの先の穴は大きいです。
上から行くことはもうできません。
ここは勇気を振り絞って…

結局、ジャンプで乗り越えないとダメなんです。
ここでは敵が出てきませんので自分のタイミングでジャンプできます。
その直後に敵が出てきますが…
そして、そのピカピカ光っているのはキノコか? と思いきや単なるコイン。
現実は厳しいのです。

キノコが出てきた。でも取れなかった 再び。
一番上のブロックを叩くとキノコが出ます。
キノコは前に進みます。なのでマリオも前に進めば取れる。と思いきや
キノコは右のブロックにあたって跳ね返ってしまいます。
そうとは知らずに右に進んだマリオはキノコを逃してしまうわけです。

このようにプレイヤーはまたもやキノコを逃して悔しい思いをするわけです。
次にプレイすれば絶対取れますけどね。

このように、もう一度プレイすれば前よりも良い結果を残せるような仕掛けがいたるところにあるわけです。




無敵アイテム登場
このブロックからスーパースターが出現します。
ぴょんぴょん跳ねながら進んでいくスターは最初は取るのが難しいですが取るとマリオが無敵状態になり音楽も変わります。
この部分は敵少ないためスターを取りやすくなっていますが、ここを過ぎるとどんどん敵がでてきます。
スターもどんどん前に進んでいくため、ここで取れないと取るのが難しくなります。
しかし足場が平坦であるため、スターをとった場合はどんどん敵を倒していけます。

新しいアイテムはどんなものか気になるもの?
なので、アイテムの効力を十分に発揮できるようにコースも作られています。

スーパーマリオはブロックを壊せる…だけど
上に2つの「?」ブロックがあります。キノコを取ったスーパーマリオ状態ならブロックを壊すことができます。
何も考えずにブロックを壊していては、足場がなくなって「?」ブロックが叩けなくなってしまいます。

ここ以前に登場する「?」ブロックは足場が壊れないため、どんな状態でも叩くことはできますが、この「?」ブロックだけ足場が壊せるようになっています。

ただ闇雲にブロックを壊すのではなく、頭を使って壊して良いブロックを判断する。壊す順番を考えるというパズル的な面白さがあります。

なんの変哲もないように見えてしっかりと考えられてコースが作られています。


この先、難所。でも練習はできるよ

マリオ1-1での最難関の部分の狭い足場でジャンプするポイント。 いきなり失敗してミスになるのはちょっと厳しすぎる。 ということで、事前に足場のある部分で練習することができます。 実は、2つめの穴になっている部分のジャンプ手前の足場は2つ分なので練習の場所よりも簡単になっていますので、落ち着いてプレイすれば落ちることは無いでしょう。
スターの無敵状態でハイテンポな音楽が流れていて落ち着いていられますか?って

アクションゲームは進むにつれて難しくなっていくものです。
ですがいきなり難しい部分。特に些細な操作ミスで1機消滅するような部分を初心者にいきなりプレイさせるのは厳しいでしょう。
なので、そのような部分に行く前に、練習できるようにしています。
また、スターの無敵状態では音楽も焦りやすい曲になっています。平常心ではそれほど難しくないポイントですが、焦ってミスをしやすいように作られています。

最後の敵とブロック

マリオ1-1での最後の敵とブロック
下の「?」ブロックを叩くには、敵がいない間に叩くか、敵を倒してから叩くか?
普通にプレイすればファイヤーマリオになっているだろうからそれほど難しくはないけど油断は禁物

これまでの「?」ブロックでは、敵をやり過ごせば、安全に叩く事ができました。
ここでは、両方に土管があるため敵を倒してから叩くか、敵が近くにいない時に素早く叩くしかありません。

旗につかまればゴール
高いところにつかまるほど高得点。
ただゴールするだけでなく、どのようにゴールするか?ここでもテクニックの差が現れます。

ゴールの仕方によって得点が変わります。
アクションゲームではプレイヤーの腕前によってスコアが開くようにするとスコアを比べることでプレイヤーが上達したことを実感できますね。


マリオは土管に入る。ということは…
見事、1-1をクリアしたら次は1-2へ進むわけですが。プレイヤーは操作することなくマリオが土管に入ってきます。
ここで、マリオを初めてプレイした人は「マリオは土管に入れる」ということを知るわけです。
この頃のゲームはゲームオーバーになったら最初から…
一度1-2を見ているプレイヤーは1-1でも土管に入れるか試すわけです…

ちゃんと入れる土管が1-1にあります、しっかりと考えられて作りこまれています。

まとめ

とにかくスーパーマリオ1-1は初心者に優しく作られています。
ゲーム開始直後は敵も少なくアイテムも取りやすく、なかなかミスをしないようにコースが作られています。
だからといって、簡単すぎかというとそうではありません。
中盤(最初の穴)の地点を超えると変わります。 キノコが穴に落ちやすくなっていたり、キノコを取ろうとしてもプレイヤーの心理の逆をつかれてキノコを逃しやすくなっていたりと、意外と優しいとはいえない内容です。 1-1という短いコースであるにかかわらず、プレイヤーに悔しい思いをさせる仕掛けが満載なのです。
「ここでミスしたから難しい、だからやめる」ではなく、
もう一度プレイしたらもっと先に進むことができるようになっているのです。
さっきはキノコを逃したけど次はキノコは逃さない。
さっきはスターを取りそこねたけど、次は絶対に取れる。
そのようにコースが作られているのです。

新しいアイテムはどんな効果があるかすぐに試したいものです。
そのためにキノコをとった直後はブロックを壊せるようにレンガブロックが、フラワーやスターをとった後の先には敵がたくさん出てくるようになっています。

アクションゲームは難しいところを突破した時に達成感を得られるものです。
ですが、いきなり難しいところに挑戦してもミスになってしまっては楽しさが感じら得ないでしょう。
なので、少しずつ難しくなるように作られています。

特に難しいところは事前に練習できるようになっています。
段々とステップアップしていくことでプレイヤーもどんどん難しいことに挑戦できるため達成感もより大きく、そのプレイヤーが挑戦するコースを作る開発者も満足感も大きくなっていくのでしょう。

更に、ゲームとは繰り返しプレイするものであり、同じことを永遠をやっていると飽きてくるのです。
ファミコンの頃はセーブもなくゲームオーバになったら最初からです。
「またこれやるの?]
それでも1回めとは違うことができたらそれを試したくなるでしょう。
次は土管から落ちないようにプレイしてみよう。
上からでなく下から行ってみよう。
土管に入れるか試してみよう。
何度もプレイするコースですし、いろいろなことができたほうが楽しいですよね。
スーパーマリオのWORLD1は特に自由度が高いコースといえるでしょう。

誰もが知っているアクションゲームは、誰でも楽しめるように作られています。
たとえ、クッパを倒すことができなくても1-1をクリアすれば、それだけでも十分楽しい・充実した内容と言えるでしょう。

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